生成 AI をめぐって広く参照されている記事・調査・主張を、原典と公開資料に照らして記述する。記述ごとに出典の原文を開き、合っている点と食い違う点を並べて示す。
atwiki「AI画像生成・生成系AI 問題まとめwiki」
2023年ごろから更新が続く、生成AIの問題をまとめたwiki。各ページの事実の記述を、条文・官庁文書・判決・論文と照合する。
- 「著作権法第三十条の四」条文と文化庁の資料の転載は原文どおりで、AI の学習と、生成物を作って使う場面とを分けて考える点も、文化庁の2024年の資料と合う。一方、ページが法律事務所の記事を出典に挙げる「著作者であっても止めることはできない」はその記事に見当たらず、文化庁の2024年の資料は、条件がそろえば無許諾の学習を法的に防げる場合があるとしている。要修正 4/照合 9・出典9件
- 「生成AI関連の電力・環境問題の事例一覧」6件のうち、GIGAZINE の「最大136倍」は元の論文の値と一致し、GIZMODO の「76%」も報告書の値(75.5%)と合う。一方で、「76%」は家庭の電気料金ではなく卸電力の総コストの上昇率であり、Forbes の「4度」は華氏(摂氏では最大2.2度)、XenoSpectrum の「約9倍」は比の分母(約2 Wh)の出典が示されておらず、「10倍」は2023年ごろの推計に由来するとされる値を用いた比である。要修正 3/照合 6・出典19件
- 「生成AIは何が問題なのか?」取り上げた8件の出来事は、当局の発表、裁判記録、法案の資料、報道で確かめられた(ブラジルはウェブ保存版、オーストラリアは第三者のサイトに置かれた報告書の写し、医療記録の件は報道に依る)。DeepSeek、医療記録の写真、OpenAI への提訴、日本の法案(統計作成に限った同意の例外と課徴金)についての記述は資料と合う。ブラジルとオーストラリアの記述は大筋で合うが、ブラジルは過料を伴う命令を「求めた」と書き、オーストラリアは対象が公開設定の投稿に限られることを書いていない。イタリア当局の2023年の命令の主文は「処理の一時制限」だが、当局は発表で「ChatGPT を止める」とも書いている。一方、Meta が欧州での計画を「中止」したという記述は、Meta の発表(延期)や DPC の声明(一時停止)と異なる。OpenAI と LinkedIn への訴訟が、違法かどうかの判断が出ないまま取下げで終わったこと、日本の改正法が公布されたことは、ページに書かれていない。要修正 5/照合 9・出典22件
- 「画像生成AIは何が問題なのか?」照合した7つの記述のうち、著作権法30条の4、LAION-5B の規模、NovelAI の発言、Nature の方針の4つは出典と合う。中国の「70%」と「10分の1」は別々の人の話を一文にまとめたもので、オプトアウトの「唯一のケース」と Science の方針の記述は、最終更新(2025年7月)の時点の状況とは合わない。FANZA と DLsite の「一か月に一度」は、確認できた資料では裏付けられない。要修正 4/照合 7・出典20件
- 「AIと人間の学習の違いについて」本文の「すべてストック」「元の形のまま取り出すのが前提」は、拡散モデルの学習の仕組みと合わない。挿入された反論の「元の形で取り出すことは不可能」も、学習画像のほぼ複製を取り出した研究と合わない。論文によると、ほぼ複製は限られた条件で起き、学習データ中で重複の多い画像に偏る。LAION-5B の「58億」、AI が人より多くのデータを要するという趣旨は論文と合う。要修正 7/照合 14・出典11件
Wikipedia の生成 AI 関連記事
日本語版Wikipediaの生成AI関連記事。記事の構成と個々の記述を、出典の原文と一次資料に照らして確認する。
- 「問題・議論」(人工知能アート)人物の発言や団体の提言の多くは、誰の発言かを示して出典どおりに書かれている。一方、Wikipedia が事実として書いている記述には、出典や一次資料の内容と食い違うものが3節すべてにある(画像生成の仕組み、米国著作権局の判断、「質の高い証拠とされるメタ分析」など)。要修正 13/照合 25・出典26件
- 「中国のイラストレーターの仕事の70%が失われている」(生成的人工知能)出典記事の「70%」は、杭州のゲーム業界の人材仲介業者1人が語った数字で、根拠となる集計は記事に示されていない。発言者は原因に規制・景気の減速・AI の三つを挙げたが、日本語版の文は他の二つに触れず AI を原因として書き、「ゲーム」の語も含まない。要修正 3/照合 5・出典5件
- 「ChatGPT による検索には Google 検索の10倍の電力」(生成的人工知能)「10倍」は出典の記事と合う。出典は IEA(国際エネルギー機関)の「ほぼ10倍」という見積もりとして示しているが、記述は本文で主体を示していない。IEA の比のうち ChatGPT 側の 2.9 Wh は、2025年に ChatGPT と Gemini について示された値(0.24〜0.34 Wh)と合わない。Google 検索側の 0.3 Wh は2009年の値で、その後の公表値は確認できなかったため、現在の比は算出できない。要修正 2/照合 3・出典12件・第3版
- 「課題」に12節、利点の節なし(生成的人工知能)「課題」に12節があり、利点を扱う節がないことは目次のとおりである。英語版にも利点を見出しにした節はなく、12節のうち6節は、編集の要約欄によれば英語版からの翻訳で入った。懸念の章が本文に占める比率は、比べる範囲によって日英の大小が逆になる。英語版には用途を書いた章があり、日本語版にはない。課題の冒頭で利点と危険の両方に触れていた二人の発言は、2024年3月と2025年2月の編集を経て、懸念を表明した人物の一覧だけになった。要修正 1/照合 4・出典10件
- 「日本における著作権問題」(Stable Diffusion)2018年の成立、営利・非営利を問わないこと、AI の学習は原則として利用できること、ワーキングチームの構成は一次資料と合う。一方で、条文の番号(「30条4項」)が誤っており、例外(作品を楽しむ目的が含まれる場合など)と2024年に文化庁の考え方が示した具体例が書かれていない。「先進国で最も緩い」「リスクは十分に説明されなかった」は誰の見解かが示されておらず、アンケートの「94.1%」は公表された最終集計(93.8%)と一致しない。要修正 6/照合 13・出典10件